人は年を取ると、何を食べたかを忘れてしまった、人の名前が思い出せないなどの物忘れを起こしてしまう場合があります。
そのようなことが増えてくると、ひょっとしたら自分は認知症ではないかという不安を感じ始める方も多いかと思います。
ただ、物忘れが増えてきたからと言って、それが認知症であるとは限りません。
物忘れと認知症には以下のような大きな違いがあります。
〇物忘れ
・人の名前を忘れてしまう
・何を食べたかを忘れてしまう
〇認知症
・その人の存在自体を覚えていない
・食事をしたこと自体を覚えていない
このように、物忘れは経験したことは覚えているが、具体的な内容を忘れてしまっているような症状である一方、認知症は、経験したこと自体を覚えていません。
■認知症の初期症状
認知症の初期症状は、大きく以下に分類されます。
〇記憶障害
記憶障害とは、最近のことだけでなく、自身の人生にかかわる一部であっても、その記憶が「抜け落ちる」ように思い出すことができない症状のことを言います。
症状例)
・同じことを何度も聞いたり話したりする。
・置き忘れや片付けたことを忘れ、常に探し物をしている。
・さっき話した相手の名前がわからない、話したこと自体覚えていない。
〇実行機能障害
実行機能障害のなると、計画を立てて順序よく物事をおこなうことができなくなります。
症状例)
・料理の手順がわからず、うまく作れない。
・電化製品などの操作がわからない。
・計画的にうごけず、うまく買い物ができない。
〇見当識障害
見当識障害とは、自分が置かれている状況が理解できなくなる症状のことをいいます。
症状例)
・今日の年月日や曜日、季節がわからなくなる。
・目的までの道順や自分がいる場所がわからなくなる。
・誰と話しているのかがわからなくなる。
〇理解力・判断力の低下
理解力・判断力の低下により、物事を理解したり適切な判断をしたりすることができなくなってしまいます。
症状例)
・理解が追い付かず、周囲の会話速度についていけない。
・信号を渡るタイミングがわからない。
・いつもと違ったことが起こると混乱し対応できない。
〇アパシー(無気力・無関心)
日々の生活の中で意欲がなくなり、自ら何かをすることが苦手になってしまいます。
症状例)
・やる気がなく、だらしなくなった。
・顔を洗う、着替える気力がでない。
・趣味や日課に興味を示さなくなった。
■症状にあてはまったら一度受診を
現在、認知症は完治は難しい病気とされていますが、症状によっては、正しく治療を行うことで、その進行を遅らせることができます。
認知症は進行性の病気であるため、早期の発見・治療が肝心です。
もし、ご自身やご家族など周りの方に、認知症の症状がみられる場合は、単なる加齢と自己判断せずに、お気軽にご相談ください。
なお、初診の患者様は問診や診察に時間を要するため、
当院では診察を予約制とさせていただいております。
また、お電話にて看護師や心理士がお話をお伺いすることもできますので、
ご来院・ご相談の際は、まずはお気軽にお電話にてお問い合わせください。