経緯等のご報告

当院では、昨年2月より新型コロナウイルス感染予防の対策を始め、全職員には出勤前に少しでも体調不良があった場合は自宅待機を徹底し、勤務中にも3度検温を行い、プライベート時の外出にも行動制限をお願いしてきました。当時の状況について、記録日誌を確認しつつスタッフに聞き取り調査を行いましたが、4月27日以前には勤務中において体調不良が疑われる職員はおりませんでした。しかしながら、結果的に極めて外部接触が限定されていた病棟内において、新しい患者様の入院も無かった期間に感染が起こったことは、具体的な感染経路は不明ですが、無症状の職員が新型コロナウイルスを持ち込んだ可能性もあると考えています。
精神科病院では病気の特性上、体調の変化を伝えることができない患者様が多く、発熱があっても普通に歩き回る方もおられます。また今回、持病や褥瘡(床ずれ)を原因とする発熱を繰り返す患者様が感染していたこと、職員へのワクチン接種の副反応と新型コロナ感染の時期が重なったことなど、感染を早急に発見するのが難しい状況にあったと思います。ただ、もっと強い「疑いの目」を持って、患者様をより細かく観察することはできなかったのか。もっと早期に気づく対策は打てなかったのか。今も自問を続けています。また、勤務スタッフ数が激減し、予定していた通りの消毒・清掃も充分にできない状況下で、職員は懸命に対応を続けましたが、3西病棟に感染が拡がることとなりました。もっと、強い感染力を想定した、よりレベルの高い防止策を講じることはできなかったのか。忸怩たる思いでいっぱいです。
今回の事案を重く受けとめ、今後二度と起こさないために、全職員が自省とともに感染対策を一から見直し、少しでも改善していくことが、当院の急務であり責務だと考えています。

2021年7月14日
医療法人 清流会 理事長 久次米 均

以下、そよかぜ病院にて発生した新型コロナウイルス集団感染につきまして、経緯等をまとめました。

<経緯>
◎4月30日
・朝は異常なし。2東病棟職員が昼食の介助中、患者様2名の様子に異変(息が荒い、食欲がない等)があることに気づく。午後のバイタルチェック時刻を1時間前倒し行ったところ、熱発者13名、うち9名が38度以上の高熱。即、抗原定性検査を行う。結果、13名の陽性が判明。続けて職員にも抗原定性検査を行い、4名陽性の結果。
・保健所に連絡。同時に、当院にて有事を想定し計画していたゾーニング・動線対応をおこなう。

◎5月1日
・体調不良(ワクチン接種の副反応という報告)にて欠勤中の病棟職員1名が民間医療機関にてPCR検査を受け陽性判定。同職員は、4月27日に当院内にて新型コロナワクチンを接種していた。
・保健所と協議し、医療スタッフ(153名)と、この職員が勤務していた2東病棟(主に高齢者の病棟)の患者様45名のPCR検査を実施。

◎5月2日
・上記職員が兼務していた南病棟(開放病棟)患者様56名のPCR検査を実施、全員が陰性の結果。
・21時に前日のPCR検査結果報告あり。2東病棟 患者様20名、職員6名が陽性の結果。
・まだPCR検査を受けていなかった他病棟の入院患者様、隣接施設の利用者様、全職員のPCR検査を実施。

◎5月3日
・前日PCR検査を行った他病棟の患者様および職員、全員陰性の結果。
・患者様への優先ワクチン接種を徳島市に急きょ要請、夜間に40バイアル納品いただく。(患者様の接種後、残った分は職員分の前倒し接種として使用する許可を得る)

◎5月4日
・患者様197名にワクチン接種、追って翌日にかけて職員42名にもワクチン接種を行う。
・5月2日に実施した他病棟の入院患者様、隣接施設の利用者様および職員のPCR検査結果、全員陰性。
・他町にある関連施設の職員にPCR検査を行い、全員陰性に結果。
・自宅待機中の2東病棟職員1名、作業療法士1名、営繕職員1名の3名がPCR検査の結果、陽性。
・陽性結果の出た職員と感染の疑いがあり自宅待機となった職員が40名となり、深刻な人員不足となる。

◎5月5日
・他病棟の看護師5名を、2東病棟にサポート配置。
・2東病棟患者様1名、自宅待機中の作業療法士1名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月6日
・県および保健所と協議の上、初期に行ったゾーニング・動線を変更する。
・2東病棟の患者様3名がPCR検査の結果、陽性。
・2東病棟が「day-0」に設定される。
・病院職員145名にPCR検査を実施、全員陰性の結果。

◎5月7日
・隣接の老健利用者様51名、グループホーム9名に優先ワクチン接種、職員14名に前倒しワクチン接種。
・2東病棟職員1名がPCR再検査の結果、陽性。

◎5月8日〜9日
・2東病棟の患者様 計4名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月10日
・自宅待機を続けていた職員12名がPCR検査を受けた上で、職場復帰。
・2東病棟の患者様2名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月11日
・2東病棟の患者様1名がPCR検査の結果、陽性。
・3西病棟(男性閉鎖病棟)において、入院患者様1名に38度の発熱が見られ、抗原検査の結果、陽性。
・即刻3西病棟の入院患者様48名に抗原検査を行ったところ、最初に陽性となった患者様と同室の患者様2名、隣接する部屋の患者様2名に陽性反応あり、PCR検査を実施し5名が陽性。
・3西病棟スタッフ20名はPCR検査の結果、全員陰性。

◎5月12日
・2東病棟の患者様2名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月14日
・3西病棟が「day-0」に設定される。

◎5月16日
・3西病棟の患者様3名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月17日
・この日までに都合13名の職員が職場復帰。

◎5月18日〜23日
・3西病棟の患者様計8名がPCR検査の結果、陽性。

◎5月25日
・2東病棟以外の患者様に2回目のワクチン接種を行う。

◎6月1日
・隣接施設のデイケアを再開。

◎6月3日
・当院に入院中の患者様・職員・職員家族全員の隔離・療養が解除となる。

◎6月7日
・再診患者様の一部限定で、駐車場に設置したテントにて外来診療を開始。

◎6月18日
・新型コロナウイルス集団感染の封じ込めができたものと県・保健所に判断され、集団感染の解除が認定される。
・病院業務を再開。

◎6月21日
・オンライン面会も再開。

■感染者数について
・2東病棟(全入院者数45名のうち)33名
・3西病棟(全入院者数48名のうち)16名
・職員12名
・職員のご家族等 7名

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